認知症の種類4つとその特徴|アルツハイマー型・血管性・レビー小体型・前頭側頭型の違い

2026.03.27

この記事でわかること

認知症にはいくつかの種類があり、それぞれ原因や症状、進行のしかたが異なります。代表的なのは「アルツハイマー型」「血管性」「レビー小体型」「前頭側頭型」の4つです。
この記事では、まず「認知症とは何か」から始めて、それぞれの特徴や家族ができる対応のポイントを分かりやすく紹介します。また、珍しいタイプの認知症や、治療で回復が見込めるケースにも触れます。
最後には、どの種類の認知症が多いのか、よくある質問への答え、介護施設を選ぶ際のヒントもまとめました。認知症について正しく理解することで、本人へのサポートだけでなく、家族も安心して対応できるようになります。
なお、診断や治療方針の決定は、必ず専門的な医師にご相談ください。

認知症とは加齢による物忘れとは異なる脳の病気

認知症とは、脳の働きが少しずつ低下し、記憶力や判断力、理解力などが弱くなる病気で、単なる「年のせいの物忘れ」とは違い、生活そのものに支障が出るのが特徴です。
加齢による物忘れは誰にでも起こりますが、認知症は「体験したこと自体」を忘れてしまうため、話がかみ合わなくなることもあるため注意が必要です。また、認知症には共通して現れる中核症状と、二次的に出てくる行動・心理症状があります。
それぞれの違いを理解することで、本人や家族が安心して向き合う手助けになることを意識しましょう。

認知症は記憶や判断力などの認知機能が低下し生活に支障をきたす状態

認知症では、脳の神経細胞が少しずつ壊れていくことで、記憶力や判断力、集中力が低下していく疾患です。そのため、料理の手順を間違えたり、同じ質問を何度もしたりと、日常生活に支障が出てきます。
初めのうちは小さな変化でも、進行すると身の回りのことを自分でできなくなる場合もあります。このように、認知症は「心の病気」ではなく、脳の病気です。
周囲の理解が大切であり、早めに気づいて医師に相談することで、症状の進行をゆるやかにできることもあります。

加齢による物忘れは体験の一部を忘れるが認知症では体験そのものを忘れる

年を重ねると誰でも物忘れは増えます。しかし、加齢による物忘れは「昨日の夕食のメニューを思い出せない」といったように、体験の一部を忘れる程度です。
一方で、認知症では「夕食を食べたこと自体」を忘れてしまうことがあります。つまり、記憶の抜け方がまったく違うのです。
また、加齢による物忘れではヒントを出されると思い出せますが、認知症では思い出すこと自体が難しくなります。この違いを知っておくことで、早期発見や受診の目安にもなるので意識しておきましょう。

認知症の中核症状は記憶障害や見当識障害など誰にでも共通して現れる

認知症には、どのタイプでも共通して起こる「中核症状」があります。代表的なのは記憶障害・見当識障害・理解や判断の低下です。
記憶障害では、最近の出来事を忘れてしまい、何度も同じ質問をするようになります。見当識障害は「今がいつなのか」「ここがどこなのか」が分からなくなる症状で、迷子になることもあるため注意が必要です。
また、判断力が落ちるとお金の管理や家事が難しくなり、生活に支障をきたします。こうした症状は誰にでも共通して現れ、認知症を見分ける大切なサインとなることを忘れないようにしましょう。

認知症の行動心理症状は徘徊や妄想など二次的に現れる

中核症状が進むと、それに伴って行動心理症状(BPSD)が現れます。これは、本人の混乱や不安から起こるもので、徘徊、妄想、興奮、うつ状態などが代表的です。
たとえば「財布を盗まれた」と思い込んだり、夜中に出歩いて迷ってしまうことがあります。これらは病気の一部であり、本人のせいではありません。
家族が感情的にならず、安心できる環境を整えることで、症状が落ち着くことも多いといいます。医療機関に相談し、薬やリハビリなど適切な支援を受けることが大切です。

アルツハイマー型認知症は最も多く記憶障害が中心

認知症の中で最も多いのが「アルツハイマー型認知症」です。全体の約6割を占めるとされ、主に記憶障害が中心となって進行します。
脳の神経細胞が少しずつ壊れていくため、最初は軽い物忘れから始まり、次第に日常生活にも影響が出ます。症状の理解とともに、家族がどのように寄り添うかがとても重要です。

アルツハイマー型認知症の原因はアミロイドβやタウたんぱく質の蓄積

アルツハイマー型認知症の原因は、脳の中に「アミロイドβ」や「タウたんぱく質」という異常なたんぱく質がたまることです。これらが神経細胞を壊し、脳の働きを弱めていきます。特に記憶をつかさどる海馬が最初に影響を受けるため、症状の始まりは物忘れです。
原因となるたんぱく質の蓄積は何十年も前から進行しているといわれ、早期の生活改善や予防が注目されています。運動、バランスの良い食事、社会的な交流が、リスクを減らす手助けになるため、積極的に取り入れましょう。

参照元:「厚生労働省労健局」認知症施策の総合的な推進について

アルツハイマー型認知症の症状は初期の物忘れから中期の徘徊や失禁へ進行

アルツハイマー型認知症の初期は、同じ話を何度もする、約束を忘れるなど軽い物忘れから始まります。進行すると、料理や買い物が難しくなり、季節や場所の感覚もあいまいになる状態になります。
中期になると、徘徊や失禁などの行動が見られ、夜間の不眠や不安が強まることもあります。さらに重度になると、自分の家族を認識できなくなるケースもあります。症状の進行には個人差がありますが、早期発見とケアの工夫により、穏やかに過ごすことが可能です。

アルツハイマー型認知症の家族対応はメモや写真を活用して穏やかに接することが大切

アルツハイマー型認知症の方には、安心できる環境づくりが欠かせません。「間違いを正す」よりも、「寄り添って受け止める」姿勢が大切です。
メモや予定表を見える場所に貼ったり、写真を活用して記憶を助けるのも効果的。また、静かな口調で話し、焦らせないように接すると、本人も落ち着きやすくなります。介護する家族も無理をせず、相談窓口や地域のサポートを上手に利用しましょう。

血管性認知症は脳血管障害が原因でまだらに症状が現れる


血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などによって脳の血流が悪くなり、神経が傷つくことで起こります。症状が部分的に現れるのが特徴で、「まだら認知症」と呼ばれることもあります。一度に悪化するのではなく、階段を上がるように段階的に進行するのも特徴です。

血管性認知症の原因は脳梗塞や脳出血による血流障害

血管性認知症は、脳の血管が詰まったり、破れたりして起こる「脳血管障害」が原因です。脳の一部に血流が届かなくなると、その部分の神経がダメージを受け、情報を処理する力が低下します。
小さな脳梗塞が何度も起こる「多発性脳梗塞」でも、少しずつ症状が進行していくことがあります。血管の障害が起きる場所によって、現れる症状が異なるのが特徴です。
高血圧や糖尿病など、生活習慣病を持つ人は発症リスクが高くなるため、日ごろの体調管理がとても大切です。

血管性認知症の症状は歩行障害や構音障害など障害部位によって異なる

血管性認知症の症状は、障害を受けた脳の場所によって変わります。たとえば、運動をつかさどる部分が傷つくと歩行が不安定になったり、言葉をうまく発音できなくなったりします。
一方で、記憶はしっかりしているのに感情のコントロールが難しくなり、急に怒りっぽくなるケースもあります。このように、認知症の中でも「まだら」に症状が出るのが特徴です。
段階的に悪化するため、症状が進んだと思ったら少し落ち着く、といった波のような進行を示すこともあります。

血管性認知症の家族対応は生活習慣病の管理とリハビリの支援が重要

血管性認知症のケアでは、再発を防ぐことがとても重要です。そのために、血圧や血糖値、コレステロールの管理をしっかり行うことが欠かせません。
また、失った機能を取り戻すためには、リハビリが効果的です。 歩行訓練や言語訓練を続けることで、脳の働きを刺激し、回復を助けることができます。
家族は「できないこと」よりも「できること」に目を向け、励ましながら見守る姿勢が大切です。専門医やリハビリスタッフと連携して、本人のペースに合わせた支援を行いましょう。

レビー小体型認知症は幻視やパーキンソン症状を伴い進行が速い


レビー小体型認知症は、幻視(実際にはないものが見える症状)が特徴の一つです。また、手足が震えたり体が動かしにくくなったりと、パーキンソン病のような運動症状も見られます。
アルツハイマー型に比べて進行が速く、認知機能の変化が日によって大きいのも特徴です。

レビー小体型認知症の原因は脳へのレビー小体の蓄積

レビー小体型認知症の原因は、脳の神経細胞の中に「レビー小体」と呼ばれる異常なたんぱく質がたまることです。このレビー小体が、脳のさまざまな場所に広がることで、記憶や運動のコントロールに支障が出ます。
脳のどの部分に多くたまるかによって、症状の現れ方も異なります。記憶よりも注意力や視覚の処理能力が先に低下することが多く、日によって調子が大きく変わるのも特徴です。
原因の完全な解明には至っていませんが、神経変性疾患の一種として研究が進められています。

レビー小体型認知症の症状は幻視や認知機能の変動と運動障害が特徴

レビー小体型認知症では、見えないはずの人や動物が見える幻視がよく見られます。本人にとっては本当に見えているため、驚いたり怖がったりすることもあるのです。
また、体がこわばったり、歩幅が小さくなったりといったパーキンソン症状も現れます。日によって頭がはっきりしている日と、ぼんやりしている日があるのも特徴です。
こうした症状が重なることで、周囲には混乱しているように見えることもありますが、理解して支えることが重要です。

レビー小体型認知症の家族対応は幻視を否定せず安全対策を整えることが必要

レビー小体型認知症では、幻視があっても「そんなの見えない」と否定せず、安心させることが大切です。「そうなんだね」と受け止めるだけで、本人の不安を和らげられます。
また、転倒しやすいため、家具の角を保護したり、段差を減らすなど安全対策を整えましょう。日中は適度に体を動かすことで、夜の睡眠リズムが整いやすくなります。
介護者は一人で抱え込まず、医師や地域包括支援センターに相談して、サポート体制を整えることが重要です。

前頭側頭型認知症は人格や行動の変化が早く若年層に多い


前頭側頭型認知症は、ほかのタイプよりも性格や行動の変化が早く現れます。50代や60代の比較的若い世代にも多く、働き盛りで発症することもあります。家族が「人が変わったようだ」と感じることが多いのが、この認知症の特徴です。

前頭側頭型認知症の原因は前頭葉や側頭葉の萎縮

前頭側頭型認知症の原因は、脳の前頭葉や側頭葉が萎縮することにあります。これらの部分は、人の感情や言葉、社会的な行動をコントロールする重要な領域です。
そのため、感情の起伏が激しくなったり、他人への思いやりが欠けて見えたりすることがあります。中には、仕事中に集中できなくなったり、場にそぐわない発言をする人もいます。
脳の萎縮はゆっくり進むため、早期に気づくのは難しいですが、性格の変化が続く場合は受診が必要です。

前頭側頭型認知症の症状は反社会的行動や言語障害が現れる

このタイプでは、人格の変化や言葉の障害が目立ちます。たとえば、急に暴言を吐いたり、同じ言葉を何度も繰り返したりすることがあるのです。社会的なルールを守れなくなることもあり、家族や職場でトラブルになる場合もあります。
しかし、本人に悪意があるわけではなく、脳の働きの変化によって生じる行動です。また、言葉が出にくくなる「意味性認知症」など、言語に特化したタイプも存在します。症状を理解し、責めずに見守る姿勢が大切になります。

前頭側頭型認知症の家族対応は暴言を責めず環境を整えることが重要である

前頭側頭型認知症の方が暴言や無責任な行動をとっても、感情的に叱るのは逆効果です。脳の障害によってコントロールが難しくなっているため、責めずに環境を整えることが第一です刺激の少ない静かな環境にしたり、予定をシンプルにすることで、落ち着きやすくなります。
また、家族だけで抱えず、デイサービスやカウンセリングなど外部の力を借りることも大切です。本人と家族、どちらも安心して過ごせるよう、周囲の支援を積極的に利用しましょう。

嗜銀顆粒性認知症など珍しい認知症も存在

認知症と聞くと多くの人はアルツハイマー型を思い浮かべますが、実際にはもっと多様なタイプがあります。その中には「嗜銀顆粒性認知症(しぎんかりゅうせいにんちしょう)」のように、発症数が少なく一般にはあまり知られていないものもあります。
このような珍しい認知症は、診断が難しく誤ってほかのタイプと混同されることもあるため注意が必要です。ですが、原因や進行の仕方を正確に理解することで、本人に合ったケア方法を選ぶことができます。

【嗜銀顆粒性認知症】もの忘れに加えて性格の変化が出やすい

嗜銀顆粒性認知症(しぎんかりゅうせいにんちしょう)は、脳の細胞にごく小さな異常がたまることで起こるタイプの認知症です。高齢の方に発症しやすく、アルツハイマー型と同じように もの忘れや記憶力の低下が見られます。

特徴としては、
・怒りっぽくなる
・無関心になる
・気持ちのコントロールがしづらくなる
といった「性格の変化」が現れやすいことです。脳の前側(前頭葉)に影響が出やすいため、家族が変化に気づくことが多いとされています。

珍しいタイプではありますが、「最近ちょっと様子が違う」と感じたら、まずは専門医に相談する

【正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫】治療でよくなる場合がある

認知症と聞くと「治らない病気」というイメージを持つ方が多いですが、中には 原因を取り除くことで改善が期待できるタイプ もあります。その代表が正常圧水頭症と慢性硬膜下血腫です。

● 正常圧水頭症
脳の中の水(脳脊髄液)がうまく流れず、脳を押してしまう状態です。歩行のふらつき・もの忘れ・尿もれ の3つが同時に見られやすく、手術で症状がよくなる例が少なくありません。

● 慢性硬膜下血腫
軽い頭のケガでも、時間が経つとゆっくり血がたまることがあります
すると、
・物忘れ
・ぼんやりする
・注意力が下がる
など認知症と似た症状が出ることがありますが、手術で血を取り除けば改善が期待できます。

珍しいタイプの認知症や、治療で改善が期待できる認知症は、一般的な4大認知症(アルツハイマー・血管性・レビー小体型・前頭側頭型)とは異なる点が多く、見分けが難しい場合もあります。

「いつもと様子が違う」と感じたら、早めに専門的な医師へ相談するようにしましょう。

認知症の割合はアルツハイマー型が最多で血管性・レビー小体型・前頭側頭型が続く

認知症には多くの種類がありますが、その中でも最も多いのがアルツハイマー型認知症です。日本における認知症全体の約6割を占めるといわれています。
次いで多いのが脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などです。これらはそれぞれ原因となる脳の変化や障害の部位が異なり、症状にも個性があります。
そのため、認知症とひとくくりにせず、「どのタイプなのか」を理解することが、適切な支援と治療の第一歩になります。

認知症の種類に関するよくある質問

ここでは、認知症に関して多く寄せられる質問を整理しながら、それぞれの特徴をわかりやすく説明します。「代表的な種類は?」「なぜ発症するの?」「どんな段階があるの?」といった基本的な疑問から、アルツハイマー型とレビー小体型の違いまでを丁寧に解説しましょう。
正しい知識をもつことで、もし家族や身近な人が発症した場合にも、冷静に対応しやすくなります。

認知症の代表的な種類は?

認知症の代表的な種類は、アルツハイマー型認知症・脳血管性認知症・レビー小体型認知症・前頭側頭型認知症の4つです。
アルツハイマー型は、脳の神経細胞が少しずつ壊れていくことで記憶障害が進行するタイプです。最も患者数が多く、全体の6割以上を占めます。脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血によって血流が途絶え、脳の一部が損傷することで起こります。
レビー小体型認知症は、脳に「レビー小体」と呼ばれる異常たんぱくがたまる病気で、幻視(実際にないものが見える)や、動作が遅くなるパーキンソン症状が特徴です。
そして前頭側頭型認知症は、感情のコントロールが難しくなったり、社会的なルールを守れなくなったりと、行動面の変化が目立ちます。

なぜ認知症になる?

認知症の主な原因は、脳の神経細胞が少しずつ壊れていくことです。老化だけでなく、遺伝や生活習慣、脳の病気などさまざまな要因が重なって起こります。アルツハイマー型では「アミロイドβ」というたんぱく質が脳にたまり、神経細胞の働きを妨げることが知られています。
脳血管性認知症では、高血圧や糖尿病、動脈硬化といった生活習慣病がリスク要因です。また、頭部のケガやストレス、睡眠不足も脳への負担を増やす原因になると考えられています。
完全に防ぐことは難しいですが、生活習慣の改善や早期発見で進行を遅らせることは可能です。

認知症はどの段階ですか?

認知症は進行段階によって症状の現れ方が異なるため注意が必要です。初期段階では、物忘れや予定の把握が難しくなる程度で、日常生活はほとんど自立できます。中期になると、判断力の低下や徘徊、失禁などが現れることがあり、必要となるのが家族のサポートです。
さらに進行すると、言語が出にくくなったり、感情のコントロールが難しくなったりして、日常生活への影響が大きくなる場合があります。早期に発見して診断を受け、適切なケアや治療を行うことが、進行を遅らせるために重要です。

アルツハイマー型認知症と比べてレビー小体型認知症で特徴的な症状は?

レビー小体型認知症の特徴は、日によって頭の働きに差が出ることです。一日元気な時もあれば、急にぼんやりしてしまう日もあります。また、幻視(実際にはないものが見える)や、手足の震えや動作が遅くなるパーキンソン症状が現れるのも大きな特徴です。
一方、アルツハイマー型では記憶障害が中心で、症状の進行は比較的ゆっくり。この違いを理解することで、介護や生活支援の方法をタイプに合わせて工夫できます。
例えばレビー小体型では安全対策や安心感を重視し、アルツハイマー型ではメモや写真で記憶を補助する工夫が有効です。

まとめ|介護施設は認知症の種類に応じた対応力で選ぼう

認知症には、アルツハイマー型をはじめ、血管性、レビー小体型、前頭側頭型、そして希少な嗜銀顆粒性認知症など、多くの種類があります。
介護施設を選ぶ際は、それぞれのタイプに合わせた対応力があるかを確認することが重要です。本人の症状や生活リズムに合った環境を選ぶことで、安心して暮らせる生活を支えられます。
早期に正しい情報を知り、施設の比較検討を行うことが、本人と家族の負担を軽くする第一歩になります。

まずはお気軽にご相談ください