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褥瘡がひどいときの治療方法|医療機関での対応と在宅でできるケア

褥瘡がひどいときの治療方法|医療機関での対応と在宅でできるケア

2026.06.03
この記事の監修者
監修
高橋 恒一
介護支援専門員(ケアマネジャー)
居宅介護支援事業所にてケアプラン作成とサービス調整を担当。要介護認定の申請支援、負担割合の整理、訪問介護・デイサービスの導入支援まで一貫して関与。年間100件以上の在宅介護相談に対応し、制度運用と現場の両面から支援を行っている。

褥瘡(じょくそう)は、皮膚やその下の組織が圧迫や摩擦によって壊死してしまう状態を指します。軽度のうちは在宅でのケアで治ることもありますが、進行すると感染や発熱、痛みを伴い、命に関わることもあるのです。
本記事では、見た目から判断できる褥瘡のステージや、医師による治療、在宅でのケア方法について詳しく解説します。
さらに、治療にかかる費用や使える保険制度、経済的支援策についても整理しました。家族の介護で対応できる範囲と、医療機関に頼るべきケースを見極め、重症化を防ぐための知識を身につけましょう。

褥瘡の見た目から進行度ステージを判断できる

褥瘡は、皮膚の状態や色、深さによって「ステージⅠ〜Ⅳ」に分類されます。早期発見と正しい判断が、治癒のスピードを大きく左右します。初期の段階では赤みやヒリつきが見られる程度ですが、進行すると皮膚が破れ、筋肉や骨にまで達することもあります。
見た目だけで判断するのは難しい場合もあるため、気になる症状があれば早めに医療機関を受診することが大切です。

医師の診断と専門的処置が欠かせない

褥瘡が進行している場合、自己判断での処置は危険です。医師による診断を受けることで、感染の有無や壊死の範囲を正確に把握できます。診察では、創部の洗浄、感染を抑える抗菌薬の使用、壊死した組織の除去(デブリードマン)など、専門的な治療が可能です。
また、栄養状態や体位変換の方法なども医療スタッフが指導してくれます。医師の管理下での治療により、再発や悪化を防ぐことができるため、早めの受診が何より重要です。

入院や手術治療が検討される

ステージⅢ以上の褥瘡では、入院や外科的処置が必要になることがあり、壊死組織を除去する手術や皮膚移植(フラップ手術)で創部を覆い、治癒を促す方法が取られるケースもあります。
入院中は体位変換や清潔管理が徹底され、栄養サポートや理学療法も並行して行われるのが一般的です。在宅では難しい環境管理や感染予防を医療機関が担うことで、重症褥瘡でも回復の見込みが高まります。

褥瘡のステージ|画像診断は医師の役割

褥瘡のステージを理解するには、画像で比較するのが最も分かりやすい方法です。ステージⅠは発赤のみ、Ⅱでは水疱や浅い皮膚剥離が見られ、Ⅲになると皮下脂肪層まで損傷が及び、Ⅳでは筋肉や骨が露出するほど深く進行します。
インターネットや医療サイトでは、実際の症例画像が掲載されている場合もありますが、自己判断せず必ず医師に確認しましょう。見た目が似ていても、原因や感染の有無で処置内容が大きく異なります。

高橋 恒一
高橋 恒一
在宅では判断が難しいケースも多いため、「迷ったら専門職に確認する」というルールを決めておくと対応が遅れにくくなります。

褥瘡がひどい場合は医療機関での治療が必要になる

黒ずみや悪臭、膿が見られる褥瘡は、感染や壊死が進行しているサインです。こうした場合は、早急に医療機関で治療を受ける必要があります。
外来では創部の洗浄・消毒、抗菌剤の塗布が行われ、必要に応じて抗生物質の内服や点滴治療も実施されます。また、糖尿病などの基礎疾患がある場合は、それらのコントロールも並行して行うことが重要です。医療介入によって感染拡大を防ぎ、早期の改善を目指せます。

おしりや背中に多い褥瘡の症状の例

褥瘡は体のどこにでも発生しますが、特に圧力がかかりやすいおしり(仙骨部)や背中、かかと、肘などに多く見られます。寝たきりの方では、同じ姿勢を続けることで血流が滞り、皮膚が赤く変色する可能性があるため注意が必要です。
初期段階では赤みやかゆみ程度ですが、進行すると皮膚が破れ、膿や異臭を伴うこともあります。家族が気づきやすいのは見た目の変化とにおいの変化です。毎日の観察が、重症化を防ぐ第一歩です。

褥瘡がひどいときに使われる治療薬や処置方法

ひどい褥瘡には、創傷治癒を促す軟膏や抗菌剤、保湿性の高いドレッシング材が使用されます。壊死組織の除去、細菌の増殖抑制、肉芽形成の促進など、それぞれ異なる作用を持っています。症状や感染の有無によって適切な薬剤が選ばれるため、医師や看護師の指示に従うことが重要です。

褥瘡治療に用いる軟膏の使い分けかた

軟膏の種類 目的
乾燥を防ぎ治癒を促す軟膏 保湿・治癒促進
細菌感染を抑える軟膏 感染抑制
壊死組織を溶かす軟膏 壊死除去

※症状や感染の有無で使用薬が変わります

褥瘡の治療では、症状の進行度や感染の有無によって使用する軟膏が変わります。これは、乾燥を防ぎながら治癒を促すもの、細菌感染を抑えるもの、壊死組織を溶かすものなど、それぞれ違う目的で用いられる軟膏です。
適切な薬剤を選ぶことで、治癒を早め、再発リスクを減らすことができます。医師や看護師と相談し、使用量や塗布回数を正しく守ることが大切です。

医療用薬と市販薬の違い

医療用の軟膏は、成分が濃く、感染や壊死を抑える強い効果があります。代表的なものは「ユーパスタ」「ゲーベンクリーム」「イソジンシュガーパスタ」などで、これらは全て医師の処方が必要です。
一方、市販薬は軽度の褥瘡や皮膚の赤み段階での使用に向いています。刺激が少なく、保湿を目的とした「ワセリン」や「プロペト」などが一般的です。
ただし、深い潰瘍や膿を伴う症状に市販薬を使うのは危険ですので、悪化を防ぐためにも、重症化が疑われたら早めに専門医に相談しましょう。

看護師が行う処置と家庭で可能な処置の違い

医療機関や訪問看護では、創部の洗浄・消毒、デブリードマン、ドレッシング材の交換など、専門知識に基づいた処置が行われます。感染予防のための清潔操作や、排泄ケアとの連携も欠かせません。
一方、家庭でできるのは体位変換やスキンケア、圧力を減らす工夫などのサポートです。家庭で行うケアと医療的処置を混同すると、症状を悪化させる恐れがあります。「どこまで在宅で対応できるのか」を明確にしておくことが重要です。

最新の褥瘡処置方法を知る

近年では、褥瘡治療に「湿潤療法」が取り入れられています。創部を乾燥させず、体液の中に含まれる自然治癒成分を活かす方法で、痛みを抑えながら回復を早めるのが特徴です。
また、人工皮膚材や陰圧閉鎖療法(VAC療法)など、医療機器を用いた治療も普及しています。これらは医療機関でのみ受けられる高度な処置ですが、在宅治療と組み合わせることで負担を減らすことが可能です。

褥瘡の進行を防ぐためにできる予防ケアがある

褥瘡を悪化させないためには、日常の体位変換やスキンケア、栄養管理などの「予防ケア」が欠かせません。特に寝たきりや車椅子生活の方では、同じ部位に圧力が集中しないよう工夫することが重要です。
毎日の小さなケアを積み重ねることで、褥瘡の発生や再発を大幅に防ぐことができます。

座りっぱなしを避ける工夫と初期の治し方

座りっぱなしや仰向け寝のままの姿勢は、皮膚への血流を妨げ、褥瘡の原因になります。1〜2時間おきに姿勢を変えたり、体圧分散マットやクッションを使うことで、圧力を分散が可能です。
初期の赤みや痛みがある段階なら、清潔と保湿を保つことで治ることもあります。ただし、赤みが2日以上続く場合は、内部で損傷が進行している可能性があるため、医療機関への相談が必要です。

ドレッシング材やフィルムの貼り方・交換時期

ドレッシング材(被覆材)は、創部を保護し、湿潤環境を保つために使用されます。代表的ものは、「ハイドロコロイド」「ポリウレタンフィルム」「アルギン酸塩」などです。
貼り方を誤ると皮膚を傷つけることがあるため、初回は看護師の指導を受けて行うのが理想です。交換の目安は2〜3日に1回が一般的ですが、滲出液の量や感染の有無によって変わります。

医師や訪問看護師と連携する治癒過程

在宅介護で褥瘡を治す場合、医師や訪問看護師との連携が不可欠です。定期的な観察と記録を行い、治癒の進行状況を共有することで、適切な処置を続けられます。
また、栄養士や理学療法士と連携し、体力維持やリハビリを行うことで、再発予防にもつながります。家族だけで抱えず、チームで支える姿勢が治療成功のカギです。

高橋 恒一
高橋 恒一
介護は長期化しやすいため、早い段階から役割分担を意識しておくと無理なく継続しやすくなります。関わる人を増やすことも一つの選択です。

在宅処置と医療機関に任せるべき処置の違い

在宅でのケアは、体位変換・保湿・清潔管理など、日常的なサポートにとどめることが基本です。感染や壊死がある場合は、医師の管理下での治療が必須となります。
在宅で無理に処置を行うと、逆に感染を拡大させる恐れがあります。「痛みが強い」「膿が出る」「黒ずみが広がる」などの兆候が見られたら、すぐに医療機関を受診しましょう。

褥瘡治療にかかる費用と保険制度の活用

褥瘡の治療費は、症状の重さや治療方法によって大きく異なります。外来で済むケースもあれば、入院や手術が必要な場合もあります。
ただし、褥瘡の治療は健康保険や介護保険の対象となるため、制度を正しく活用すれば自己負担を減らすことが可能です。ここでは、代表的な費用の目安と、利用できる公的支援制度を整理します。

外来・入院でかかる褥瘡治療費の目安

外来治療では、診察・処置・薬代を含めて1回あたり2,000〜5,000円前後が一般的です。ただし、感染や壊死を伴う重症例では検査や点滴が追加され、1万円を超えることもあります。
治療費は保険適用となりますが、症状や治療内容、保険種別によって変動します。詳細は医療機関にご確認ください。
入院の場合は、期間や治療内容によって大きく差が出ます。軽度なら数日で退院できますが、手術やフラップ移植を伴う場合は数十万円以上になることもあるため、医師やソーシャルワーカーに相談して、事前に概算を確認しておくと安心です。ただし、高額療養費制度など、自己負担を軽減できる公的支援制度も活用できます。

褥瘡処置に使える医療保険・介護保険の種類

褥瘡治療は、医療機関での治療は医療保険、在宅でのケアや訪問看護は介護保険が適用されるのが基本です。
例えば、訪問看護での創部処置、ドレッシング材の交換、体位変換の指導などは介護保険でカバーされます。一方、医療的な処置(デブリードマン、抗生剤点滴など)は医療保険の対象となります。
どちらの制度が使えるかは、主治医やケアマネジャーに確認しましょう。併用することで、経済的負担を大幅に減らせます。
記載内容は2025年12月時点の情報です。最新の制度や適用範囲については、お住まいの自治体やケアマネジャーにご確認ください。

高額療養費制度などの経済的支援策

重症褥瘡で長期入院が必要な場合には、高額療養費制度の利用が有効です。これは、1か月に支払う医療費が自己負担限度額を超えた場合に、超過分が払い戻される制度です。
また、介護保険では「特定福祉用具購入費の支給」や「住宅改修補助」も利用できます
体圧分散マットやポジショニングクッションなどを補助対象として申請できるケースもあります。医療費の負担を軽減するため、制度の併用を積極的に検討しましょう。

ステージ4における施設利用に向けた情報収集にあたる

ステージⅣなど重症化した褥瘡では、在宅での治療が難しくなることがあります。この場合、医療型介護施設や長期療養型病院への入所を検討することが現実的です。
施設では、褥瘡管理を専門とする看護師や栄養士が常駐しており、定期的な創部評価や栄養サポートを受けられます。入所前には、医師やケアマネジャーを交えて、必要なケア内容や費用を確認しておくことが大切です。

ひどい褥瘡の資料請求や相談窓口を活用する方法について

褥瘡が進行している場合、自治体や病院、介護相談窓口に設けられている医療・介護相談センターを利用しましょう。治療費の補助制度、訪問看護の利用方法、施設選びの相談などを無料で行えます。
また、褥瘡ケア用品メーカーや介護サービス事業者が提供するパンフレットや資料請求も有効です。自宅ケアに必要な物品や、専門的支援の情報を比較しやすくなります。一人で抱えず、早めに公的な支援を受けることが回復への近道です。

褥瘡 ひどいに関するよくある質問

ここでは、褥瘡が「ひどい」と感じたときによくある質問を取り上げます。見た目や症状の判断基準、命に関わるリスク、医療機関に行くべきタイミングを整理して、迷わず行動できるようにしましょう。

黒ずみから不良肉芽まで、ステージをどう見分ける?

黒ずみは、皮膚の血流が滞っている初期サインであり、放置すると壊死に進行するため注意が必要です。赤みが取れず、皮膚が硬くなってきたらステージⅡ以上の可能性があります。
さらに、創部にドロッとした肉芽(不良肉芽)ができると、感染や膿が進行している状態です。自己判断では見分けがつかないため、必ず医師や看護師に写真を見せて確認してもらいましょう。

真皮を越える褥瘡で死亡するケースはある?

褥瘡そのものが直接の死因になることは少ないですが、感染症や敗血症を引き起こすと命に関わることがあるため注意が必要です。特に、糖尿病や心疾患を持つ高齢者では免疫力が低下しており、感染の進行が早い傾向があります。
発熱や悪臭、意識の低下などが見られたら、すぐに医療機関を受診してください。早期治療によって多くの重症化は防ぐことができます。

まとめ:家族介護だけで抱え込まない重要性

褥瘡がひどくなると、治療も介護も専門的な支援が欠かせません。家族だけで抱え込もうとすると、心身ともに疲弊し、適切なケアを続けることが難しくなります。
医師、看護師、ケアマネジャー、リハビリ職など、複数の専門職と連携することで、在宅でも安全な治療が可能になります。早めに相談・連携を行い、再発を防ぎながら、本人の生活の質を守ることが最も大切です。

 

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